本の紹介①『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか「ナルシスト」という病』

 

「ナルシスト」って、病気というより自分のことが大好きな人だと思っていました。

 

自分の中に美学をもっていて、自分ためになら惜しみなく投資出来る。

 

「自分サイコー!」っていう人のイメージでした。

 

 

 

一方、かねてからDV夫について、何の病気なのか考え続けていましたが、よくわかりませんでした。

 

 

いろんな病気や障害の似通った部分をあわせ持っているけれど、どれもぴったりしないのです。

  

 

そんな中で、この本の『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』というタイトルが私の目を引きました。

 

 

私がよくDV夫に対して思っていたことは、“なぜ相手の身になって考えられないのか”ということ。

 

 

 

これは 「ナルシスト」という病のせいだったのか? 

 

 

 f:id:shirayuki-diary:20200505163916j:plain

 

 『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか「ナルシスト」という病』

早稲田大学名誉教授 加藤諦三 著

 

この本を読んで、ナルシストのイメージが広がりました。

 

 

私のイメージしていたナルシストとは違うタイプのナルシストもいるのだと理解できました。

 

 

私のイメージしていたナルシストは「あからさまなナルシスト」でしたが、その他に「隠されたナルシスト」というタイプがあると言う。

 

 

日本人に多いという「隠されたナルシスト」。

 

 

DV夫ではないのですが、身近な人にイメージが重なり納得です。

 

 

めちゃくちゃ自信満々で、自分はもっと評価されるべきだと主張して強い不満を抱いているけど、かなり被害的な言動が度々あって、まるで自分に自信がない人みたいなんだよなぁ…という感じの人でした。

 

 

では、ナルシストはどのようなものなのか

 

 

 

<ナルシストとは…>

 

 

・ ナルシストは自分の意識としては高く揺るぎない自己評価をしているのだが、無意識では自己蔑視している。 つまり、本当は自己評価が低いことに自分自身はまったく気づいていない。

 

 

 ・ 相手が絶えず自分を賞賛して、自分の言動に理解を示さないと傷ついて怒りになる。

 つまり、賞賛されてなければ傷ついている。

 ナルシストの配慮は、自分が感謝されるための配慮で、相手への思いやりからの配慮ではない。 

  

 

・ 幼児期に「この人はありのままの自分を受け入れてくれる」という安心感を自分の母親が充足してくれなかった場合、大人になっても充足されずにナルシズムは消えない。

 

 

・ 自分の大切な人からの暴言や暴力などで自我価値を剥奪され、誰にも守られずに生きてきた人間環境が自己執着を強くさせる。

 

 

・ 母親固着の強い男性は、“自分の価値観はすべて自分を無条件、無制限に賞賛する女性関係と結合している”。このような男性は、いつも何もかもが欲求不満、未成熟な青少年である。情緒的に未成熟な人は、自分の成長を拒否する。

 

 

・  妻が普通の意見を言えば、ナルシストの夫は「偉そうなことを言った」と不愉快になる。母親らしく振る舞いかしずいて、ほとんど何の欲求ももたない女性でなければ、ナルシストとは付き合いきれない。

 

 

・ ナルシストの親は自分の話を延々とするが、子どもの話をうまく聞いてあげられない。

 

 

 

<ナルシスト度を測る「8つのチェックリスト」(ハーバード大学のパーソナリティ論教科書より~ナルシスト度>

 

1 人からどう見られているか、人にどんな印象を与えているかいつも考える

 

 

2 人から冷笑されたり、軽く批判されても簡単に傷つく

 

 

3 自分のことばかり話す

 

 

 4 注目の的になることがとても好きだ

 

 

 5 自分は特別だと思っている

 

 

 6 他人がいろいろしてくれることを期待する

 

 

 7 他人の幸運をうらやむ

 

 

 8 自分が値すると思っているものを得るまでは満足しない

 

 

 

⇒ これでDV夫のナルシスト度をチェック!(笑) 

 

結果、あてはまるのは、2項目のみでした。

 

あてはまる項目の基準はないようなのですが、ナルシスト度はそれ程ないということなのかな。

 

 

ちなみにあてはまった項目は、

 

 

 ⑤ 自分は特別だと思っている

⑥ 他人がいろいろしてくれることを期待する

 

 

 

DV夫に当てはまったのは、自己中心性の部分です。

 

 

 

そういえば、こんなことが日常茶飯事でした。

 

 

DV夫の声かけに、子どもが何度返事を返してもDV夫の耳には入らない。

 

 

同じ質問をDV夫が一方的に何度も繰り返しているだけで、話が進まない。

 

 

 これは、自己中心的なあまりに子どもへの関心がなかったからだと考えれば、なんだかしっくりいくような…。

 

 

この本でいうナルシストの周囲から賞賛を求める様子はDV夫にはなく、むしろトラブルメーカーで、“自分以外はみんなバカ”という態度の人でした。 

 

 

ナルシストっぽいと思う部分と、そうでなさそうな部分があって、やはり、身近な人を見抜くのは難しいです。

 

 

 

<感想>

 

 この本を読んで思ったのは、ナルシストは単なる性格的な傾向ではなく、もっと奥深いものだということ。そして、「ナルシスト」という病には治療が必要なのだろう。筆者がナルシストは病だという意味がそこにあるのだろうと感じた。

 

 

そして、現代的にはナルシストは厄介な人、関わらない方がいい人だと考えられている。関わることでコミュニケーションに膨大なエネルギーを吸い取られ、気力を削がれてしまう。

 

 

でも、本当はナルシストが「助けて」と苦しみを表現し、悩みを分かち合う人が必要なのだろう。

 

 

 

 

一方、ナルシストが子育てに携わることで、未来ある子どもが傷つき、心が蝕まれていく現実。そうやって、ナルシストの連鎖を起こしていくのであれば、それは社会的な問題なのだと思う。

 

 

 

 

この本は、「ナルシスト」という病をていねいに具体的に解説している著書です。

 

ぜひ、多くの人にナルシストについて知ってもらいたいと思いました。

 

 

 

令和2年5月5日 白雪

 

#DV避難 #児童虐待 #ナルシスト #世代間連鎖 #自己中心的 #境界性人格障害